「午後11時」の心地よい論議
きょう(12日)、ペンネーム「野々市市内のうるさい老人」さんから1通のメールをいただいた。番組「黄金の喉は歌い継ぐ~FMN1ゴールデン・スロート」に対してのものだった。放送時間は月~金の午後3時から1時間で、午後11時から再放送をしている。
パーソナリティーの桑原和江が冒頭に、「今日はどのような1日をお過ごしですか」と語りかけているのですが、メールの方は午後11時の再放送分をお聴きになっているらしく、「お過ごしですか」が耳に障るらしいのです。やはり「お過ごしでしたか」が日本語として相応しいのではないか、というご指摘でした。
メールの書き出しでも番組名を「Golden Shroat」とされていたので、英語に慣れ親しんだ方だと推察しましたが、後半に、語学学校に通っていた趣旨の話があり、「(当時の先生から)言葉の言い回しで、議論するな。いろんな環境があるのだから」と教わっていたそうですが、午後11時は1日の終わりに近いのであり、古来のカレンダー的には馴染めないらしい。
もちろん、私も、違和感があるのは承知の上で放送していたので「やっぱり無理があるのかな」と思い直しています。
一応、FMN1の番組表の上では、1日の始まりは午前5時で、終了が29時(翌朝5時)という、普通の生活の感覚とは違う29時間制を採用している。午後11時というのは、1日の終わりまで、まだ6時間がある、ということになる。しかし、1日の終わりには近くない、というのは強弁というか屁理屈であるには違いない。
私自身も昔、夕方の5時、6時出勤をしていたことがあります。香林坊でバスを降りると、帰宅する人たちと遭遇します。人の波の進行方向とは逆に歩くのが1日の始まりでした。だからといって、そんな勤務状況が普通のはずはありません。そういった会社に就職していただけのことです。
コミュニティ放送局とは所帯が小さくても、ラジオ局はマス・メディアの一角を占めています。放送時間は基本的に29時間制で、当たり前のことなのです。夕方に局入りしても「お早うございます」というのが当たり前みたいなところです。
が、今回のメールは、FMN1に再就職した時の初心を思い出させてくれました。メディアの常識は世間の非常識。FMN1は常識的な放送局になりたい、ということです。今では、夕方にはやはり「こんにちは」、「ご苦労様」とあいさつをするようになりました。
問題はゴールデン・スロートの「お過ごしですか」です。たった7人のスタッフで毎日24時間放送をしているわけですから、すこしでも作業量を減らしたいというのが本音です。技術的には本放送と再放送分を別々に制作すればよいのですが、口で言ったり、耳で聴いているだけでは分からない程、作業量は増えることになります。制作上の制約が多い番組の一つなのです。
今後は、スタッフと相談したうえで結論を出すことになります。
「野々市市のうるさい老人」さんのメールは一服の清涼剤の効果がありました。ともすれば、日常性の中に埋没していく身ですが、ピリっと引き締まりました。リスナーからの耳に痛いお便りは放送局の財産になります。ところで、私も老人の仲間入りをしていますが、この口うるささはスタッフにとって薬になっているのでしょうか…