PMCで見つけた〈7〉トルネイドスの「テルスター」
2018年10月19日
情報は瞬時に地球規模で広がり世界を変えた
4K、8Kという言葉が次第に、茶の間の話題にも上るようになってきた。東京オリンピック、パラリンピック2020を目指した新テレビのサービスで、12月から始まる。現在のハイビジョンより高精細で、より臨場感のある映像が楽しめる次世代型の衛星放送らしい。ただ、電波は空から降ってくるのだが、肝心のアンテナ、受像機の普及はこれから、ということなので、高価格でもあり、慌てずに待つしかないのかもしれない。
テレビが地上のアンテナを離れて、通信放送衛星が登場したのが昭和37年(1962)のことで、パリからアメリカへのテレビ中継に成功した。なにしろ、パリで今起きていることがアメリカの家庭にまで、時間をおかずに直接届くわけだから脅威的な変化であった。4K、8Kといっても、この延長線上にあるわけだから一つの進化でしかなく、関係者以外は比較的冷静のように思われます。
世界初の通信放送衛星の名前を「テルスター」と呼びました。成功を記念してイギリスのバンド・ザ・トルネイドス(ザ・トーネードーズ)が発表したのがインストゥルメンタルの「テルスター」という曲で、全米でもNo.1を獲得する大ヒットになりました。PMCには残念ながらトルネイドスのレコードは1枚もなく、見つけることは出来ませんでしたが、ザ・ベンチャーズやザ・シャドウズなどのインストゥルメンタル・バンドを始め、ビッグ・バンドのデューク・エリントンなど43枚が登録されています。
日本における衛星放送の実験は翌年の昭和38年(1963)に行われましたが、その時に飛び込んできたのがケネディ米大統領の暗殺事件のニュースでした。まさに衛星放送の面目躍如というべきか、世紀の大ニュースが宇宙を飛んで来たのです。4K、8Kといいますが、技術は伸びたもののニュースの内容はどれだけの進化を見せたのでしょうか。それとも、エンターテメントの世界に席巻されていくのでしょうか。(宮崎正倫)
(注)タイトルで「ザ・トルネイドス」としたのはFM-N1のファイルに付けられていた名前でした。色々な読み方があるようですが一般的には「ザ・トーネードーズ」または「トーネイドーズ」が使われているようです。PMCには「ザ・トーネイドース」で「テルスター」は1枚あり、「TORNADOS」名義で2枚ありました。
◇KIT・PMCとは:金沢工業大学がライブラリー・センターに設置しているレコード・ライブラリー「ポピュラー・ミュージック・コレクション」の頭文字をとった略称。全て寄贈されたレコードで構成され、24万5千枚を所蔵している。