PMCで見つけた〈13〉チャーリー・プライドの「テネシー・ガール」
2018年11月9日
アフリカ系アメリカ人が歌う甘酸っぱいカントリー・ミュージック
これまで余り触れたことがないカントリーを聴こうと、PMCからチャーリー・プライドのアルバム「リバー・ソング」を借りてきた。まず、最初に驚かされたのは、レコード・ジャケットは少し色褪せていたものの、確かにアフリカ系アメリカ人の顔立ちだった。カントリー・ソングと言えば典型的なヨーロッパ系アメリカ人の音楽だという先入観念があったからである。
彼の経歴を見ると1938年(昭和13)にミシシッピー州のスレッジ生まれとある。ミシシッピー川はアメリカ音楽の川でもある。河口のニューオーリンズは南北戦争の後、ジャズが発祥した地であり、中流のメンフィスではブルース、ソウル、ロックンロールが生まれ、ナッシュビルはカントリー・ミュージックの地である。
例えば、エルヴィス・プレスリーはこんな環境の中でカントリーだけでなくブルースや、ゴスペルを聴いたように、チャーリー・プライドもカントリーを聴いて育ったのである。第13回グラミー賞で、最優秀カントリー男性歌手賞を受けているのもうなづけるのである。カントリーチャートでは30曲ほどが1位を記録しているという。
1973年に発売された同アルバムのお気に入りは「テネシー・ガール」だった。旅に出た男が生まれ故郷のテネシーが恋しくなり、恋人の待つテネシーに帰るという、胸に甘酸っぱさがこみあげてくる1曲である。(宮崎正倫)
◇KIT・PMCとは:金沢工業大学がライブラリー・センターに設置しているレコード・ライブラリー「ポピュラー・ミュージック・コレクション」の頭文字をとった略称。全て寄贈されたレコードで構成され、24万5千枚を所蔵している。