PMCで見つけた〈17〉ザ・シュレルズの「ベイビー・イッツ・ユー」
2018年11月23日
これでは「シューパーマン」になってしまう
ザ・ビートルズの初期の楽曲が好きだ。それは、彼らがライヴ演奏でアメリカのR&Bやロックンロールをカバーしていたものだ。だから次第にアメリカのロックンロールが体に染みついてしまった。ビートルズがイギリスで最初に発売したアルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」の中には14曲中に6曲が含まれている。その中の1曲に「ベイビー・イッツ・ユー」がある。
オリジナルはアメリカのガールズ・グループのザ・シュレルズ(The Shirells)である。この曲は彼女らの代表曲でもある。が、ここでグループ名の綴りをみてほしい。普通にカタカナ読みをすれば「シレルズ」になってしまう。PMCのデータを検索すれば「シュレルズ」で9件、「シレルズ」で6件が該当した。これは日本発売に当たってレコード会社がジャケットやライナー・ノーツに書いているので、公式な読み方になるのでしょう。が両方とも正解であれば戸惑ってしまう。英語らしさを感覚的に捉えて「シュ」としたのだろうか。
同じことが、「愛はどこへ行ったの」「ベイビー・ラブ」で有名なグループのザ・シュープリームス(The Supremes)にも言える。素直には「シュープリームス」とは読めないのである。英語に近い発音では「スプリームズ」なのである。語尾も「ス」ではなく「ズ」である。FM-N1では原則カタカナで紹介する、としているので、難しい選択になる。
そこへ、番組パーソナリティのロイ・キヨタさんがひと言。「それでは空を飛ぶ人はシューパーマン」になってしまう」。アメリカの活劇ヒーロー「スーパーマン(Superman)」のことである。形にとらわれない融通無碍(ゆうずうむげ)が日本人の特徴であるならば、ここは、私も日本人らしく問題を先送りにしてしまおうか。(宮崎正倫)
◇KIT・PMCとは:金沢工業大学がライブラリー・センターに設置しているレコード・ライブラリー「ポピュラー・ミュージック・コレクション」の頭文字をとった略称。全て寄贈されたレコードで構成され、24万5千枚を所蔵している。