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PMCで見つけた〈22〉スティーヴ・ローレンスの「くたばれアカデミー賞」

2018年12月11日

一発屋の印象が吹き飛ばされたエンターテイナー夫婦

 

スティーヴ・ローレンスと聞けば「悲しき足音(原題:FOOTSTEPS)」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。この歌は、別れを告げに来た彼女が玄関から去って行く足音が僕を泣かせる、という内容です。そして甘い歌声だが、他の曲は余り知らない。オールディーズの邦題に「悲しき」と付けば一発屋的な印象を持たれることになる。斯く言う私もその一人でした。

 

ところが、PMCのデータ検索では43件が該当して意外な思いをしました。借りてきたアルバムのタイトルが「くたばれアカデミー賞」で、ジャケットにはオスカー像(左手を横に突き出した偽物)を手にしたローレンスが満面の笑みをたたえて立っている。つまり、アカデミー賞を逃がした名曲の中から12曲を選んで歌っているのである。一発屋どころか

フランク・シナトラ、アンディー・ウィリアムス、トニー・ベネットなどに比肩する歌いっぷりなのである。

 

曲名を紹介すると「あなたはしっかり私のもの」「チェンジ・パートナーズ」「ラブ・レター」「帰ってくれて嬉しいよ(有名な誤訳タイトル)」「ロング・アゴー」「誰も奪えぬこの思い」「4月の想い出」「頬寄せて」「愚かなりわが心」「ハウ・アバウト・ユー」「ザット・オールド・フィーリング」「チャタヌガ・チュー・チュー」である。この中でも、甘い歌声が活かされた「頬寄せて」がお気に入りになりました。

 

もう一つ分かったことがあります。夫人は「恋はボサノバ」で有名なイーディ・ゴーメだったことです。ちなみに、ゴーメの方も同曲以外は耳にする機会が少なく、こちらも一発屋という印象を覆されました。アメリカでもおしどり夫婦として名高いそうです。歌の上手い二人のデュエットは初めて聴きましたが絶品、と言ってもいいでしょう。PMCの宝庫には、まだまだ私の知らない名曲の数々が眠っていることでしょう。(宮崎正倫)

 

 ◇KITPMCとは:金沢工業大学がライブラリー・センターに設置しているレコード・ライブラリー「ポピュラー・ミュージック・コレクション」の頭文字をとった略称。全て寄贈されたレコードで構成され、245千枚を所蔵している。