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PMCで見つけた〈32〉ザ・シーカーズの「愛の喜び」

2019年1月25日

君をすきになった私は愚か者なのだ

 

ザ・シーカーズをご存知でしょうか? 1962年(昭和37)にオーストラリアで結成された男性3人、女性1人のフォーク・グループです。翌年にイギリスに渡って活躍しました。「ジョージー・ガール」が代表曲です。解散した後、メンバーを募ってザ・ニューシーカーズとして「愛するハーモニー」をヒットさせていますが、基本的には別のグループでしょう。PMCからザ・シーカーズのレコード・アルバム「ベスト・フォーク・アルバム」を借りてきました。

 

聴いてみると、期待以上の13曲でした。中でも「愛の喜び」という曲が気になりました。どこかで聴いたような、という気がしてライナー・ノーツを取り出すとエルビス・プレスリーが1961年に発売したスロー・バラード「好きにならずにいられない」でした。それも、カヴァー曲ではなく、1819世紀にかけて活躍したジャン・ポール・マルティーニが作曲したフランス生まれの原曲でした。プレスリーよりもスロー・テンポで歌っています。

 

FM-N1のパーソナリティ・ロイ・キヨタさんによると、「好きにならずにいられない」の歌詞は「賢者は言う 愚か者はあわてて行動に走ると でも 君を好きにならずにはいられない」で始まるという。君を好きになった私は愚か者なのである。まさに原題の「Can’t Help Falling Love」なのである。理性を忘れて、君をすきになることは罪なことなのか、とも歌っている。

 

「愛の喜び」の原詩は、「愛の喜びは一瞬しか続かない。別れの哀しみは生涯続く。私はスルヴィのために全てを捨てたが、彼女は他の男の元へ走った」という内容です。これは、恋に破れた男の悲しみを歌っています。プレスリーの曲とは違う気もしますが、シルヴィの心も見えず、我を忘れて恋に溺れた、という意味ではこちらも愚か者なのだろう。というか、愚か者にならなければ出来ないのが恋なのだろう。賢者に戻った時に、満足するか後悔するかは別の話である。(宮崎正倫)

 

KITPMCとは:金沢工業大学がライブラリー・センターに設置しているレコード・ライブラリー「ポピュラー・ミュージック・コレクション」の頭文字をとった略称。全て寄贈されたレコードで構成され、245千枚を所蔵している。