スタッフブログ

HOMEスタッフブログサンプルページPMCで見つけたPMCで見つけた〈2〉ヴェラ・リンの「ドーバーの白い壁」

PMCで見つけた〈2〉ヴェラ・リンの「ドーバーの白い壁」

2018年10月4日

ドーバー海峡を越えて飛来するもの

 歌姫と呼ばれる方は洋の東西を問わず、時代を問わず、分野を問わず多くいる。それこそ聴衆が自分の人生の襞(ひだ)深くにまで染み込んだ曲を歌ってくれた人が、その人にとっての歌姫なのだろう。金沢工大のPMC(ポピュラー・ミュージック・コレクション)は、全て寄贈によるレコード・コレクションなので、レコード盤そのものというより寄贈者の人生の喜怒哀楽を保管している、と言っても過言ではないのである。

 今日(10月4日木曜日)午前8時からの番組「黄金の喉は歌い継ぐ~FM-N1ゴールデン・スロート」で、ヴェラ・リンの「ドーバーの白い壁」が流れました。ヴェラ・リンとはイギリス・ロンドン生まれの歌手で、第2次世界大戦中にラジオ放送を通じて“イギリス軍兵士の恋人”と呼ばれ、兵士はもとより国民の全てに親しまれていた、ということです。

 題名のドーバーとは、イギリスとフランスの間に横たわるドーバー海峡のことで、海岸線に切り立った白い崖が代表的な風景でしょうか。大戦中はイギリスに対して海峡越しに、ドイツ軍による空襲、ロケット攻撃が激しさを極め、英国民は絶望の淵に立たされていたのです。それを支えたのが彼女の歌声だった、といいます。

 歌詞は「ドーバーの白い壁を越えて、幸せの青い鳥が飛んでくる…」というものですが、美しいバラードがイギリス国民の心に響いたのでしょう。この曲はアルバム「ヴェラ・リン イギリス第八軍のリリー・マルレーン」に収められています。1917年生まれの彼女は現在101歳。現役です。(宮崎正倫)