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PMCで見つけた〈5〉ザ・クローヴァーズの「ラブ・ポーションNo.9」

2018年10月12日

ジプシー女のマダム・ルーが作った媚薬

 「ラブ・ポーションNo.9」という曲を聴いたのは中学生の頃だったか。てっきりイギリスの4人組バンドであるザ・サーチャーズのオリジナル曲だと思っていた。リヴァプール出身というからザ・ビートルズと同じで、マージー・ビートのお仲間である。その頃はビートルズの影響もあってかザ・ハーマンズ・ハミッツ、クリフ・リチャードなどユニオンジャック印がお気に入りだった。

 邦題が「恋の特効薬」で、多感な青春期には、本当にそんな薬があるのだろうか、と興味津々だった。ところが、金沢工大のポピュラー・ミュージック・コレクション(PMC)で、アメリカのドゥ・ワップ・グループであるザ・クローヴァーズの「Love Potion No.9」という輸入盤のアルバムを見つけたのである。ライナー・ノーツにはクローヴァーズのオリジナルであると書かれていた。

 歌の中身は、女の子と全く縁がない男が、ジプシー占いのマダム・ルーに悩みを打ち明けた。するとマダムは、小さな瓶に入った惚れ薬No.9を分けてくれた。男は鼻をつまんで薬を一口、喉に流し込んだ。あら~大変、薬が効いてきた。男は昼と言わず夜と言わず、目に見えるものに所構わずキスをし始めた。挙句の果てに、交差点に居たお巡りさんにまでキスをして、怒ったお巡りさんに瓶を割られてしまいました。

 世間には「百年の恋も冷める」という言葉もあるが、あの憧れた「恋の特効薬」がこんな結末を迎えるとは… オリジナル曲かカバー曲で薬の効能は変わるものでもあるまいが、最初に曲を聴いた頃から、たった50年かそこらで熱も冷めるというもの。ともかく、惚れ薬を自分で飲んでしまっては元も子もない、という話のようだ。惚れ薬の瓶に用法は書いてなかったのだろうか?(宮崎正倫)